型番:Big Crown Records - BC181-LP-C1
カラー盤(Steel Sky)
ドイツ・ハンブルク発の神秘的なスティールパン・グループ、Bacao Rhythm & Steel Bandは、2024年にフランス映画Anatomy of a Fallがアカデミー脚本賞を受賞した際、大きな話題を呼んだ。同作で50centの"PIMP"をカバーした彼らの演奏が物語の重要な役割を担い、作品の成功と不可分の存在となったのだ。その後、アカデミー賞授賞式では史上初めてオーケストラピットにスティールパンが設置され、Justine Triet監督が受賞のためにステージに上がる際、彼らがこの曲を演奏した。これら全てがバカオに新たなファン層をもたらし、"PIMP"のストリーミング再生回数は4000万回を大きく突破した。知る人ぞ知るこの楽曲は、2008年にバンドリーダーのBjorn Wagnerが自ら運営するレーベルMocamboから初リリースされた際、アンダーグラウンドで名声を博し、50centのヒット曲の元となったオリジナル・サンプルソースとよく間違われた。
数々の称賛や国際的な名声はさておき、"PIMP"は文字通りBacaoの氷山の一角に過ぎない。2014年にBig Crownと契約して以来、彼らは4枚のフルアルバムと世界中のDJの定番となった7インチシングルを数多くリリースし、驚異的な創作活動を続けている。絶え間ないリリースと膨大なカタログにもかかわらず、毎回のレコーディング・セッションではアルバムに収まりきらないほどの成果が生まれ、数曲の楽曲が録音アーカイブに眠ったままとなっていた。本作『Big Crown Vaults Vol. 4』では、そのアーカイブを開き、それらの楽曲の(ほぼ)すべてを正式にプレスしリリースする。
アルバムはBob Jamesの超名曲ブレイクビーツ"Nautilus"のカバーで幕を開け、オリジナルに独自の解釈を加えたアレンジは、ヒップホップとブレイクビーツ愛好家必携の一曲となっている。勢いそのままに、Khruangbinの名曲“Maria También”にBRSB流のアレンジを施し、彼らの代名詞である重低音ドラムが楽曲のエネルギーを全く新たな次元へと引き上げる。再解釈対象の楽曲選びにおいて、深く掘り下げて発掘することで悪名高い彼らは、次にRoyce the 5’9”のJ Dillaプロデュース曲“Let’s Grow”に挑戦する。元々"PIMP"初回プレス盤のB面(そしてデビューアルバム『55』の超限定初回2LP盤にも収録)だった「PIMP (Version)」をここに収録。オリジナル音源にメロディカとテープエコーをふんだんに用いた本格的なダブ処理を施している。テンポとファンク性を高めてJackson5の"Great To Be Here"をカバーし、さらにBilly Jonesのダンスフロア・バーナー「Lookout Baby (Here I Come)」で再び深淵なレア曲に潜入。新Bacao Rhythm & Steel Band作品の魅力はカバー曲選びにある一方、彼らが新たに生み出したオリジナル曲も同等に興味深い。『BCR Vaults Vol. 4』に収録されたオリジナル曲は"Kaiso Noir"ただ1曲だが、これはBボーイ・ブレイクとジェームズ・ボンドのテーマ曲を混ぜ合わせたようなアップテンポの、聴衆を沸かせる曲だ。
この楽曲集は2008年から2023年までの作品を収録し、ヒップホップからジャズ、ソウル、ポップまで、Bacaoの視点を通した多様なジャンルを網羅している。バンドはすでに5枚目のフルアルバム制作に着手しており、このコンピレーションは新作がリリースされるまでの間、ファンを満足させるのに最適な作品となるだろう。
A1. Nautilus
A2. Maria También
A3. Let’s Grow
A4. Pimp (Version)
A5. Look Out Baby (Here I Come)
A6. Great To Be Here
A7. Juicy Fruit
B1. 8th Wonder
B2. Murkit Gem
B3. All For The Cash
B4. Kaiso Noir
B5. Guess Who’s Back
B6. Giana Sisters